【ケゾえもんオペラ寄稿】薔薇の騎士について語りたい その7

(2023-10-27 ケゾえもん記)
私は薔薇の騎士の女声三重唱の決定版を聞いている。そしてたくさんある薔薇の騎士の録音のどれを聞いても満足できないと言っている。カルロス・クライバー自身の指揮によるライブ録音でさえだめだと言っているのだ。

決してこれはスノッブではなく、本当にそう思って悲しんでいるのだ。あのまぼろしはいったいなんだったのか?幻想だったのか?しかし幻想を6回もきちんと繰り返すことは可能なのか。

私の主張は主張として、これだけのことを言う以上は責任がある。自分の言っていることが本当かどうか改めて検証を試みた。

いまユーチューブで見れないもの聞けないものはない。ユーチューブでいくつかの薔薇の騎士の三重唱をピックアップして聞いてみた。するとかなりいい線行っている。あの日の感動に近い録音を見つけたので報告する。

最後に舞台には3人だけが残る。事情を知るゾフィーは元帥夫人におそるおそる挨拶をする。元帥夫人はゾフィーに

「あなたは彼のことをとても早く好きになりましたのね」

と言う。これは嫌味だけれど追及するつもりはさらさらない。元帥夫人はもうとうにあきらめている。

スパイ大作戦を敢行したオクタヴィアンだったがオックスが警官を呼んでしまって話がこじれたのは誤算だった。それを元帥夫人が現れて収めてくれた。いや元帥夫人がこの場に現れたのが一番の誤算だった。もはやバツが悪くて合わせる顔がない。オクタヴィアンは元帥夫人のことを名前でマリー・テレーズと呼んでいる。

三重唱はオクタヴィアンが「マリー・テレーズ」と呼びかけるところから始まる。
元帥夫人はオクタヴィアンを諦めようとしている。
オクタヴィアンはすまないと思っている。
ゾフィーは不安でしょうがない。

●元帥夫人
「私は固く誓った。彼を正しいやり方で愛する。他の女に対する愛でさえ愛すると」

●オクタヴィアン
「これが起きたこと。これがなされたこと。彼女に聞きたい、これでよかったのかと」

●ゾフィー
「自分がどうなっているのかわからない。教会の中にいる様、とても神聖でとても不安で」

三者三様の気持ちを一度に表現できるのが音楽による三重唱の強みである。

私がこの録音なら鑑賞に耐えると思ったものは、現在調べた中でたったひとつ。管弦楽はウィーン・フィル。指揮者はエーリッヒ・クライバー。カルロス・クライバーの父である。

このユーチューブには演奏映像はない。その代わり三者三様の心象を描いた字幕が流れるので、これはとても良い。

(ケゾえもん)



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